オクジャワの歌、今回は一番の思い出の曲「また会おう、少年たち」なのに、少女たちのことを歌った2番の途中までしか録音されていなかったことが判明。がっかり。
https://youtu.be/fxv3Kd1428o?si=q-yVR0-4HHLkCn_p
この歌で、ソ連の女性兵士の存在を知ったと言ってもいい。
(「女狙撃兵マリュートカ」や「シベリア物語」「僕の村は戦場だった」など軍隊の中に女性はたびたび登場していたのだが。)
女性が軍隊に入って敵と闘い(ソ連の場合、ほんとうに前線の戦闘の場にも送られた)、帰還すると、男性の兵士らとは扱いが異なり、礼賛されるどころか非難されたということを、沼野先生がおっしゃるので、最初意味がわからなかった。祖国のためにと先頭に立って従軍したのになぜ???
短い放送時間なので、そこのところを沼野先生も詳しく解説したわけではなかったが、厳然たる女性差別・女性蔑視、偏見がそこにあることははっきりおっしゃっていた。
(沼野充義先生のパートナーである沼野恭子先生がその後従軍した女性たちの戦後の実態を著したアレクシェーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』の訳を三浦みどりさんから引き継ぐことになる。)
そして、この後の録音が、1月末の「男は遂に家に現れた」まで飛ぶようだ。この間の歌の録音は消えちゃっているのか???
さて、この歌は、17歳で軍に志願したオクジャワの戦争体験を反映したものであることは言うまでもない。
До свидания, мальчики
Ах война, что ж ты сделала, подлая:
стали тихими наши дворы,
наши мальчики головы подняли --
повзрослели они до поры,
на пороге едва помаячили
и ушли, ха солдатом -- слджаь ...
До свидания, мальчики!
Мальчики,
поствайтесь вернуться назад.
Нет, не прячьтесь вы, будьте высокими,
не жалейте ни пуль, ни гратат
и себя не щадите вы,
и всё-таки
постарайтесь вернуться назад.
また会おう、少年たちよ
ああ、戦争よ、おまえは何をしたんだ、卑劣な!
我らの中庭は静かになった
我が国の少年たちは頭を挙げて
時期尚早に大人になって
敷居に姿を見せて
そして行ってしまった、次々に兵士となって
また会おう、少年たちよ!
男の子たち、
帰ってくるようにがんばれよ
いや、君たち、身を隠すんじゃない、高く立つんだ、
銃弾も擲弾も惜しむんじゃない
骨身を惜しむな、君たち
それでもやっぱり
帰ってくるよう頑張るんだよ
端的に言えば「君死にたもうことなかれ」というメッセージを込めた歌詞。
年端もいかない男の子たちが次々に志願して前線に赴いた(オクジャワ自身も)世相が悲しい。勇敢に闘いつつ、それでも帰ってくるよう頑張る、それは両立できるのだろうか?
Ах война, что ж ты сделала, подлая:
вместо свадеб -- разлуки и дым,
наши девочки платьица белые
раздарили сестрёнкам своим.
Сапоги -- ну куда от них денешься?
Да зелёные крылья погн ...
Вы наплойте на сплетиков, девочки.
Мы сведём с ними счёты потом.
Пусть болтают, что верить вам не во что,
что идёте войной наугад...
До свидания, девочки!
Девочки,
постарайтесь вернуться назад.
ああ、戦争よ、おまえは何をしたんだ、卑劣な。
結婚式の代わりに――別れと煙
我が国の女の子たちは白いドレスを次々に妹たちに譲って
でも兵隊の長靴からは逃れることはできない
肩章の緑の翼からも
君たち、おしゃべりな奴らのことは無視しよう、女の子たちよ
我々は彼らとかたをつける※のは後にしよう
無駄口をきかせておけばいいさ、君たちには信じる者は何もなく、
当てずっぽうに戦争へと進んでいるんだなんて
また会おう、少女たちよ!
女の子たち、
帰ってくるよう頑張るんだよ
※сведём с ними счёты<свести счёты с кем ~との勘定を清算する、~への恨みを晴らす
こちらも年端もいかない女の子たちが、やはり祖国のためにと軍に志願し、ウェディング用の白いドレスを妹たちにあげてしまう、という歌詞から始まる「少女編」、『戦争は女の顔をしていない』では、包帯でウェディングドレスを作って戦場結婚するエピソードをその後知るが、そのときこの歌詞を思い出した。
後半に、そんな彼女らを中傷する連中のことが出てくる。
「軍隊に男性(と情交を結ぶこと)を求めて行った」等々と推量する人たちがいたのです、と沼野先生が解説したので、よくもそんな発想が?と驚いたが、映画「戦争と女の顔」にもそういった中傷があり、「ええ、そのとおりですよ」と開き直る、観ていて辛い場面が耐え難い。(ここを文字通り「彼女はやはりそういう人だったのか」と解釈した人をSNS上で見かけて絶望的になった)
オクジャワの小説デビュー作『少年兵よ、達者で』は未読。
(この"Будь здоров, школяр"はドブラートフの講義でも沼野先生が取り上げた。)
https://youtu.be/fxv3Kd1428o?si=q-yVR0-4HHLkCn_p
この歌で、ソ連の女性兵士の存在を知ったと言ってもいい。
(「女狙撃兵マリュートカ」や「シベリア物語」「僕の村は戦場だった」など軍隊の中に女性はたびたび登場していたのだが。)
女性が軍隊に入って敵と闘い(ソ連の場合、ほんとうに前線の戦闘の場にも送られた)、帰還すると、男性の兵士らとは扱いが異なり、礼賛されるどころか非難されたということを、沼野先生がおっしゃるので、最初意味がわからなかった。祖国のためにと先頭に立って従軍したのになぜ???
短い放送時間なので、そこのところを沼野先生も詳しく解説したわけではなかったが、厳然たる女性差別・女性蔑視、偏見がそこにあることははっきりおっしゃっていた。
(沼野充義先生のパートナーである沼野恭子先生がその後従軍した女性たちの戦後の実態を著したアレクシェーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』の訳を三浦みどりさんから引き継ぐことになる。)
そして、この後の録音が、1月末の「男は遂に家に現れた」まで飛ぶようだ。この間の歌の録音は消えちゃっているのか???
さて、この歌は、17歳で軍に志願したオクジャワの戦争体験を反映したものであることは言うまでもない。
До свидания, мальчики
Ах война, что ж ты сделала, подлая:
стали тихими наши дворы,
наши мальчики головы подняли --
повзрослели они до поры,
на пороге едва помаячили
и ушли, ха солдатом -- слджаь ...
До свидания, мальчики!
Мальчики,
поствайтесь вернуться назад.
Нет, не прячьтесь вы, будьте высокими,
не жалейте ни пуль, ни гратат
и себя не щадите вы,
и всё-таки
постарайтесь вернуться назад.
また会おう、少年たちよ
ああ、戦争よ、おまえは何をしたんだ、卑劣な!
我らの中庭は静かになった
我が国の少年たちは頭を挙げて
時期尚早に大人になって
敷居に姿を見せて
そして行ってしまった、次々に兵士となって
また会おう、少年たちよ!
男の子たち、
帰ってくるようにがんばれよ
いや、君たち、身を隠すんじゃない、高く立つんだ、
銃弾も擲弾も惜しむんじゃない
骨身を惜しむな、君たち
それでもやっぱり
帰ってくるよう頑張るんだよ
端的に言えば「君死にたもうことなかれ」というメッセージを込めた歌詞。
年端もいかない男の子たちが次々に志願して前線に赴いた(オクジャワ自身も)世相が悲しい。勇敢に闘いつつ、それでも帰ってくるよう頑張る、それは両立できるのだろうか?
Ах война, что ж ты сделала, подлая:
вместо свадеб -- разлуки и дым,
наши девочки платьица белые
раздарили сестрёнкам своим.
Сапоги -- ну куда от них денешься?
Да зелёные крылья погн ...
Вы наплойте на сплетиков, девочки.
Мы сведём с ними счёты потом.
Пусть болтают, что верить вам не во что,
что идёте войной наугад...
До свидания, девочки!
Девочки,
постарайтесь вернуться назад.
ああ、戦争よ、おまえは何をしたんだ、卑劣な。
結婚式の代わりに――別れと煙
我が国の女の子たちは白いドレスを次々に妹たちに譲って
でも兵隊の長靴からは逃れることはできない
肩章の緑の翼からも
君たち、おしゃべりな奴らのことは無視しよう、女の子たちよ
我々は彼らとかたをつける※のは後にしよう
無駄口をきかせておけばいいさ、君たちには信じる者は何もなく、
当てずっぽうに戦争へと進んでいるんだなんて
また会おう、少女たちよ!
女の子たち、
帰ってくるよう頑張るんだよ
※сведём с ними счёты<свести счёты с кем ~との勘定を清算する、~への恨みを晴らす
こちらも年端もいかない女の子たちが、やはり祖国のためにと軍に志願し、ウェディング用の白いドレスを妹たちにあげてしまう、という歌詞から始まる「少女編」、『戦争は女の顔をしていない』では、包帯でウェディングドレスを作って戦場結婚するエピソードをその後知るが、そのときこの歌詞を思い出した。
後半に、そんな彼女らを中傷する連中のことが出てくる。
「軍隊に男性(と情交を結ぶこと)を求めて行った」等々と推量する人たちがいたのです、と沼野先生が解説したので、よくもそんな発想が?と驚いたが、映画「戦争と女の顔」にもそういった中傷があり、「ええ、そのとおりですよ」と開き直る、観ていて辛い場面が耐え難い。(ここを文字通り「彼女はやはりそういう人だったのか」と解釈した人をSNS上で見かけて絶望的になった)
オクジャワの小説デビュー作『少年兵よ、達者で』は未読。
(この"Будь здоров, школяр"はドブラートフの講義でも沼野先生が取り上げた。)
0 件のコメント:
コメントを投稿