2026年9月14日月曜日

飯島喜美@モスクワ 『漫画 飯島喜美の青春』雑感

 モスクワでの飯島喜美の描写について。

*モスクワに渡ってプロフィルテルン第5回大会で演説というので、今まで喜美さんは原稿を誰かにロシア語訳してもらって、それにフリガナでもふって読み上げたのかと思っていたら、この本によると、日本語で演説したものを蔵原惟人が通訳しているのだった。

*あのコンパクトは「ロシア文様」でこのとき贈られた(玉川氏の推測だと山本縣蔵からだと、年上の異性から化粧道具をというのは「筆が進まず」そこは違った描写に)。

*КУТВについて(83頁)

Коммунистический университет трудящихся Востока имени И. В. Сталина

イオシフ・ヴィッサーリオノヴィチ・スターリン名称東方勤労者共産主義大学

略称の読み方は

①原則字母をそのまま読み上げるが、母音は繋げて読む

②力点は語尾

なので、クー・チェー・ヴェー→「ク・チ・ヴェー」の発音が近そうであるがこの本にあるように「クートベ」が定訳になっているのだろうか。力点の位置が不自然でmmmという感じはするが。

*ホテル・ルックス(リュクス) Гостиница Люкс 80頁

ホテル・ルックス(ロシア語: Гостиница Люкс, 英語: Hotel Lux)は、モスクワのゴーリキー通り(現トヴェルスカヤ通り)10番地にあった、ソビエト連邦の初期時代における、コミンテルンの外国人宿舎である。(略)日本人の滞在者としては、片山潜が有名である。日本共産党代表で、長年にわたるホテル・ルックス居住者として、コミンテルンで最も知られた人物のひとりであった。(ウィキ先生より)

旧称はГостиница «Франция»ホテル・フランス、現Гостиница «Центральная» ホテル・ツェントラーリナヤ(1953年以来)

外国人(最多はドイツ人)滞在者の多くは1930年代の粛清の犠牲に遭ったようである。

この本にあるように「LUXE HOTEL」とラテン文字表記がされていたのか、お椀のようなドームがあったのかは確認できなかった。(ウィキペディアの写真だとちょっと違う気がする。)


「ホテル・リュクス」というドイツ映画もあるようだ(ジャンルはコメディー)。

治安維持法下の女性共産党員の伝記漫画、『伊藤千代子』もそうだけれど、資料を読み込んだ上で絵にしていくのはどんなに大変だろうか。漫画家ってすごい。しかもこれから 映画製作が始まるという時期に、よく間に合うように完成したと感心。
まあどうしても絵面を味わうよりもテクストを読み進めていく感じにはなるけれど。
フィクションの混じる(ストーリーの展開の都合で登場人物はかなり絞っている)各章の幕間には、飯島喜美の実際の生涯についての解説がコラムという形で挿入されている。
惜しむらくは、
*巻末の参考資料に刊行年が入っていない
*77頁のモスクワでの演説シーンでのロシア語表記が単語の途中で行が変わってしまっていて不自然
80% работников --молодые женщины (労働者の80%が若い女性たちだ)のмолодые「若い」という単語が м/(次行)олодыеになっている
といった詰めの甘さ

0 件のコメント:

コメントを投稿