語尾が-а, -яではない女性名詞は例外的です(-ь型の名詞が少々)。
しかし、語尾に-а, -яがついているからといって、女性名詞とは限らない。まあ、女性名詞のことが多いのですが、староста(長), мужчина(男性), папа(パパ), дедушка(おじいさん), дядя(おじ), судья(裁判官)などの男性名詞もあるのです!全て活動体です。男性の人名にも、語尾が-а, -яのものがあります。
今回は人名で語尾-а型の格変化です。
このパターンに該当する名前
*Гаврилаガヴリーラ ロシア人だと、Гавриилの方が多い。
ルーマニア人でГаврила Богдан(ティミショアラのMF)
*Данилаダニーラ(Даниилの口語形)
ゼニットのリザーブにいる95年生まれのЯщукヤシク
*Кирилаキリーラ(Кирилの口語形)
やはりКирилが圧倒的。
*Кузьмаクジマー
クジマーは、略称がクージャ。有名なロシアのチョコレート「アリョーンカ」のボーイフレンド(ペコちゃんのお友達のポコちゃんみたいな存在)というキャラがいる。しかし、このお菓子は希少らしく、私は観たことがない。
名前としてはそんなに珍しくはないはずだけれど、サッカー選手ではあまり観ない。
探してみたら、ポーランド人選手でКузьма Дарюшクジマ・ダリュシュという89年生まれのMFがいた。そのくらいか。
*Лукаルカー
福音記者の名前なので、ロシアに限らずこの名前の男性はいる。サッカー界ではむしろロシア人以外の選手によくいる。Лука Джорджевичジョルジェヴィチ(ゼニット、モンテネグロ人)
Лука Тониトニ(フィオレンチーナ、イタリア人)
Лука Модричモドリチ(レアル・マドリード、クロアチア人)など。
*Никитаニキータ
一時期売出し中だったんだけど、のБаженовバジェノフ(トミ・トムスク)アムカルのБурмистровブルミストロフ
アルメニア系のСимонянシモニャンさん。クルィリヤにもいたらしいけれど、主にスパルタークで活躍して、現在はロシアサッカー協会会長。
オーストラリア代表のРукавицаルカヴィツァ(マインツ所属、ニコラエフ生まれでウクライナとの二重国籍)もいる。
ロシアU21には、Никита Чичеринチチェリン(ディナモ・モスクワ) とНикита Безлихотновベズリホトノフ(トルペド・モスクワ)がいる。
というわけで、昔も今もポピュラーです。
*Савваサッヴァ
サッヴァという名前のサッカー選手なんて知らない、と思っていたら、苗字がСавва(アルテミス・サッヴァ)というキプロスの選手が要るのだった。ギリシャ系だろう。ギリシャのAEK所属
*Хома ホマー
ゴーゴリの幻想小説『ヴィー』の主人公の名前だが、思い当たらず。
*Фокаフォーカ
こういう名前の人は知らない…。
*Шота
グルジアの有名な詩人ショタ・ルスタヴェリの名前。なので、グルジア系の名前。Арвеладзеアルヴェラーゼ アヤックスやレンジャーズに在籍していたFW.現在トルコのカスィムパシャの監督さん
ただし、ヴォルガのFWにしてロシア・ユース代表のБибиловビビロフはグルジア系ではなく、オセット人。
ニキータが頻出なのでこれでいきます。
単数 | 複数 | |
主格 | Никита | Никиты |
生格 | Никиты | Никит |
与格 | Никите | Никитам |
対格 | Никиту | Никит |
造格 | Никитой | Никитами |
前置格 | Никите | Никитах |
それから、人名の略称・愛称(Саша, Алёша, Славаなどたくさんある)もこのように格変化します。
及びある種のウクライナ系の姓(Карякаカリャカ, Коноплянкаコノプリャンカ)や外国人の姓で-аで終わるもの(Хондаとかも)もこのタイプです。
女性名詞と同じ格変化をすると言っても、女性名詞ではないので、形容詞は男性形をつけます。
Уважаемый Никита Иванович!
Милый, хороший, и умный Шота!
補遺(2020年5月12日)
サッカー選手では思いつかず、古風な名前なのだろうと思う。
*Иона ヘブライ語の鳩。旧約聖書のヨナ書のヨナ。チェーホフの短編『ふさぎの虫(Таска)』の主人公の名前